久留里線の路線図と全14駅一覧|廃線協議の真相と2026年最新動向
千葉県・房総半島の木更津駅から内陸部の山あいに位置する上総亀山駅までを結ぶJR久留里線。東京湾アクアラインを使えば都心から1時間圏内という立地にありながら、緑豊かな田園風景や渓谷美を駆け抜けるローカル線として親しまれてきました。しかし現在、終点寄りの一部区間を巡り、路線のあり方を根本から見直す議論がかつてない緊迫感をもって進められています。
JR東日本が公表した経営情報によって浮き彫りになった巨額の赤字と極端な利用者の減少を受け、地元自治体や利用者を巻き込んだ協議が本格化しました。観光資源としての魅力と、公共インフラとしての厳格な採算性の狭間で揺れる久留里線の全体像、全14駅の停車駅一覧、そして2026年現在の廃止協議や代替バス転換の現実を現場目線で紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:JR久留里線は木更津〜上総亀山を結ぶ全14駅・32.2kmの非電化路線だが、末端の「久留里〜上総亀山」9.6kmは廃線およびバス転換が現実味を帯びている。
- 要点2:同末端区間の収支係数はJR東日本管内でもワーストクラスであり、100円の収入を得るために1万円以上の費用を要する構造的赤字が協議入りの決定的理由となった。
- 要点3:線内は木更津駅を除きSuica等の交通系ICカードが一切利用できず、木更津駅での内房線乗り換え時や車内での精算方法に事前の注意が必要となる。
【全14駅一覧】JR久留里線の路線図と各駅の特徴を総ざらい
JR久留里線は、千葉県木更津市の木更津駅から袖ケ浦市をかすめ、君津市の上総亀山駅へと至る全長32.2kmの単線・非電化路線です。全線を通して走行する列車には気動車のキハE130系100番台が投入されており、ステンレス車体に房総の海や菜の花をイメージした鮮やかなカラーリングが施されています。
路線の骨格を理解する上で外せないのが、路線の性格が中間拠点の久留里駅を境に二分されている点です。木更津〜久留里間は県立高校の通学需要や木更津市街地への通勤客を抱える生活路線として機能している一方、久留里〜上総亀山間は山深い過疎地域を走行する超閑散区間となっています。以下に全14駅の停車駅一覧と駅周辺の主な特性を整理しました。
| 駅名(所在地) | 木更津からの営業キロ | 接続路線・駅の形態 | 駅周辺の主な特徴と利用実態 |
|---|---|---|---|
| 木更津(木更津市) | 0.0km | JR内房線(有人駅) | 久留里線の起点。4番線ホームから発着し内房線との乗り換え結節点。 |
| 祇園(木更津市) | 2.6km | 単式1面1線(無人駅) | 木更津高校など教育施設が近く、朝夕は学生の乗り降りが目立つ。 |
| 上総清川(木更津市) | 4.2km | 単式1面1線(無人駅) | 住宅地が広がり、清見台方面へのアクセス拠点。近隣住民の日常利用中心。 |
| 東清川(木更津市) | 6.1km | 単式1面1線(無人駅) | 田園と新興住宅が混在するエリア。市街地近郊の閑静な佇まい。 |
| 横田(袖ケ浦市) | 9.3km | 相対式2面2線(無人駅) | 列車行き違い設備を有する中継駅。袖ケ浦市東部の主要生活拠点。 |
| 東横田(袖ケ浦市) | 12.2km | 単式1面1線(無人駅) | 周辺にのどかな田園が広がる棒線駅。国道409号線に近接。 |
| 馬来田(木更津市) | 13.9km | 単式1面1線(簡易委託駅) | かつて行き違い可能だった面影を残す駅。武田川コスモスロードの最寄り。 |
| 下郡(君津市) | 15.2km | 単式1面1線(無人駅) | ここから君津市域。ホームと小さな待合スペースのみの簡素な構造。 |
| 小櫃(君津市) | 16.6km | 単式1面1線(無人駅) | 小櫃川沿いの旧小櫃村中心地。君津市役所小櫃行政センターが近隣にある。 |
| 俵田(君津市) | 20.0km | 単式1面1線(無人駅) | 田畑が連なる静閑な無人駅。小櫃川を望む長閑なロケーション。 |
| 久留里(君津市) | 22.6km | 相対式2面2線(委託駅) | 運行上の運行拠点。多くの列車がここで折り返す。名水百選の城下町。 |
| 平山(君津市) | 25.7km | 単式1面1線(無人駅) | 山間部へ入る境界駅。駅前にはノスタルジックな飲食店が点在。 |
| 上総松丘(君津市) | 28.3km | 単式1面1線(無人駅) | 旧松丘村の中心部。行政センターや小中学校跡が近く、過疎化が進展。 |
| 上総亀山(君津市) | 32.2km | 単式1面1線(無人駅) | 久留里線の終着駅。亀山湖・亀山温泉郷への玄関口だが観光利用も低迷。 |
路線図を俯瞰すると、木更津駅から久留里駅までの22.6kmと、そこから山間へと分け入る久留里駅から上総亀山駅までの9.6kmとでは、駅の雰囲気だけでなく輸送密度の面でも全く異なる様相を呈していることが理解できます。

【存廃問題の深層】久留里〜上総亀山間の廃止協議が進む理由と赤字データ
JR東日本が2022年にローカル線の線区別収支を初めて開示して以来、久留里線の末端区間である久留里〜上総亀山間(9.6km)は全国的な注目を集め続けてきました。同社が公表した公式決算資料によると、この区間の輸送密度(1日1キロあたりの平均通過人員)は100人未満(年によっては50〜60人台)にまで落ち込んでいます。
さらに衝撃を与えたのが、収支の効率を示す「営業係数」の劣悪さです。同区間の営業係数は10,000円〜17,000円超を記録しており、これは「わずか100円の運賃収入を得るために1万円から1万7千円以上ものコストを投じている」という極度の採算悪化を証明しています。年間の運輸収入が100万円から200万円程度にとどまるのに対し、線路や踏切の維持管理、車両運行にかかる経費は約2億8000万円前後に達し、年間約2億8000万円弱の純損失を毎年垂れ流し続けている計算になります。
| 区間 | 平均通過人員(輸送密度) | 営業係数(100円稼ぐ費用) | 存廃議論と協議の方向性 |
|---|---|---|---|
| 木更津〜久留里(22.6km) | 約1,500〜1,800人/日 | 約500〜700円 | 高校生の通学・通勤の足として鉄路存続が前提。減便や合理化で維持模索。 |
| 久留里〜上総亀山(9.6km) | 約50〜80人/日 | 約10,000〜17,000円 | 鉄道維持は困難。バス転換・オンデマンド交通への移行を軸に大詰めの協議。 |
JR東日本が君津市や千葉県に対して「地域の公共交通としてのあり方見直し」を正式に申し入れた背景には、少子高齢化の加速度的な進行と自家用車の普及があります。君津市の山間部では住民の高齢化に伴い駅までの徒歩移動そのものが困難になっており、自宅前から利用できるコミュニティバスや乗合タクシーの方が住民の実生活に即しているという現実が浮き彫りになってきました。
【運行本数とアクセス実態】木更津駅の時刻表と乗り換えの注意点
久留里線の運行形態は、前述の利用実態を色濃く反映しています。起点の木更津駅発の時刻表を見ると、木更津〜久留里間は朝夕の通勤通学時間帯におよそ1時間に1本、日中もおよそ2時間に1本程度が確保され、1日17〜18往復が設定されています。しかし、久留里駅から先の上総亀山駅まで直通、あるいは接続する列車は極端に絞り込まれています。
久留里〜上総亀山間の定期旅客列車は、相次ぐダイヤ改正と減便措置により、現在わずか1日5往復にまで削減されています。特に日中時間帯は5時間から6時間以上も列車の発着がない時間帯が存在し、一度乗り遅れると現地で完全に足止めを食らうスケジュールとなっています。木更津駅から内房線の快速や特急を使ってアクセスする場合、接続の事前確認を怠ると数時間の待機を余儀なくされます。
また、運行されているキハE130系100番台は都市近郊の混雑にも対応可能なオールロングシート仕様となっており、トイレ設備が設置されていません。木更津から上総亀山までの乗り通しには約1時間10分を要するため、特に冬場の観光利用や長時間の乗車前には、木更津駅の改札内であらかじめお手洗いを済ませておくことが鉄則です。

【一般に知られていない盲点】Suica非対応の罠とバス転換計画の全貌
東京近郊から訪れる旅行者が最も陥りやすい落とし穴が、「SuicaやPASMOなどの交通系ICカードが一切使えない」という点です。首都圏のJR路線であり、木更津駅には当然のように自動改札機が並んでいるため錯覚しがちですが、久留里線の途中駅(祇園〜上総亀山)には簡易改札機すら設置されていません。
もし木更津駅で内房線の改札をSuica等で入場し、そのまま久留里線へ乗り換えて無人駅で下車した場合、現地での車内精算は現金のみとなり、後日Suicaの入場記録を取り消す手続きを別の有人駅で行わなければなりません。木更津駅で乗り換える際には、一旦改札を出て券売機で紙の乗車券を購入するか、乗車駅の出発時点で目的地までの通し乗車券を買い求めておく必要があります。
一方、水面下で進む久留里線バス転換計画は、単に鉄道を廃止して路線バスに置き換えるだけにとどまりません。君津市とJR東日本による協議会では、通学時間帯に合わせた拠点間直行バスの運行に加え、山間集落をきめ細かく巡回するデマンド型交通(予約型乗合ワゴン)を組み合わせたハイブリッド輸送体系が検討されています。「駅から遠い高齢者にとっては、自宅近くまで迎えに来るワゴン車の方が利便性が高い」という逆転現象が、バス転換への後押しとなっています。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
筆者が実際に平日の日中、木更津発上総亀山行きの列車に乗車して目撃したのは、数字以上の厳冬風景でした。木更津駅を発車した時点では通学の高校生や買い物客で座席の半分ほどが埋まっていたものの、横田、馬来田と進むにつれて乗客は下車していき、運行の結節点である久留里駅に到着した時点で車内に残っていたのはわずか3名でした。
終点の上総亀山駅まで乗り通したのは、定年退職後にカメラ散策をしている旅行者1名と筆者のみ。地元住民の利用は実質ゼロという状態でした。駅前で個人商店を営む高齢の店主は、寂しげにこう打ち明けてくれました。
「40年前は亀山湖の観光客や釣り人で列車が着くたびに賑やかだったよ。でも今はみんな車か高速バス。地元で電車に乗るのは高校生くらいだけど、その子供たちも激減してしまった。残してほしい気持ちはあるけれど、誰も乗っていない空気袋みたいな電車が1日数回走るのを見ていると、申し訳ない気持ちになってしまうんだ」
一方で、週末になると様相は一変します。廃線が取り沙汰されて以降、首都圏中からいわゆる「葬式鉄」と呼ばれる鉄道愛好家や週末ハイカーが押し寄せ、数少ない便が満席になる日も見られます。しかし、これは一時的な特需に過ぎず、地域の持続可能な生活インフラとしては全く寄与していないという厳しい現実が、SNSや地域住民の座談会でも冷静に指摘されています。

【プロの結論】地域交通崩壊を防ぐ処方箋と利用者が選ぶべき選択肢
交通経済学および地域社会学の知見に照らせば、輸送密度が100人を恒常的に割り込む鉄道路線を、民間企業たるJRの独立採算のみで維持することはもはや不可能です。重要なのは「鉄路というハードウェアを残すこと」ではなく、「地域住民、特に車を運転できない学生や高齢者の移動権(モビリティ・ライツ)をいかに確実に防衛するか」という本質的な問いです。
鉄道という固定化されたインフラに莫大な公金を投じるよりも、柔軟にルートを変更でき、小回りの利くバスや自動運転モビリティへシフトした方が、地域の持続可能性は高まります。ただし、そのためには行政と住民が一体となり、「廃線になったら二度と元には戻らない」という覚悟と、代替交通を日常的に支え続ける強い合意形成が不可欠です。
【旅の判断基準】久留里線への乗車をおすすめできる人・避けるべき人
◎ 今すぐ乗車をおすすめできる人:
・昭和から続く房総ローカル線の原風景を肌で感じ、記録に残しておきたい鉄道ファン。
・木更津〜久留里間で名水観光を楽しみつつ、のんびりと日本酒の酒蔵巡りを楽しみたい休日旅行者。
・1日5往復の過酷なダイヤを綿密にパズルのように組み立て、旅の不便さそのものを楽しめるバックパッカー。
▲ 慎重になるべき・車移動等を推奨する人:
・亀山湖や養老渓谷など周辺観光地を日帰りで効率よく複数箇所回りたい旅行者(乗り継ぎの制約が致命傷になるため)。
・都内近郊の移動と同様に「Suicaをタッチして気軽に行ける」と思い込んでいるノープランの観光客。
・移動途中で車内トイレの利用が必須な乳幼児連れのご家族や高齢者グループ。
【久留里線の路線図】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:久留里線ではSuicaやPASMOなどのICカードは本当に使えませんか?
A1:起点の木更津駅を除き、祇園駅から上総亀山駅までの全線・全駅でSuicaやPASMOは一切利用できません。乗車前に木更津駅や出発駅の券売機で目的地までの紙の切符をお買い求めください。万が一ICカードで入場してしまった場合は、降車時に現金で全額精算し、後日JR有人駅窓口でカードの処理を依頼する必要があります。
Q2:久留里〜上総亀山間はいつ完全に廃線・バス転換されるのでしょうか?
A2:君津市、千葉県、JR東日本による地域公共交通検討会議において、バス転換に向けた具体的な運行計画や代替ルートの策定が詰められています。関係自治体との正式な合意および国土交通省への届出を経て、数年以内のバス転換移行が現実的なスケジュールとして協議されています。最新の公式発表を随時ご確認ください。
Q3:久留里駅周辺で名水観光を楽しみたいのですが、見どころや徒歩圏内のスポットはありますか?
A3:久留里駅周辺は「生きた水久留里」として名水百選に選定されており、駅から徒歩数分圏内に複数の自噴井戸や歴史ある酒蔵(吉崎酒造、藤平酒造など)が点在しています。また、徒歩30分ほど(登城道含む)で房総の要衝であった久留里城跡にも足を伸ばせます。途中下車して散策するには非常に適したエリアです。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
JR久留里線の路線図を眺めると、房総半島の奥座敷へと続く線路の軌跡にロマンを感じずにはいられません。しかしその裏側では、超少子高齢化とモータリゼーションの進展という、現代の日本社会が避けて通れない過酷な構造的課題が突きつけられています。
今後予定されるバス転換や運行の見直しは、地域交通を切り捨てるためではなく、住民の移動手段を未来へ残すための現実的な適応策といえます。久留里線の旅を計画される方は、Suica非対応や運行本数の制約といった現場のルールをしっかりと把握した上で、いまなお残る古き良き日本のローカル線の息吹を、敬意を持って味わってみてください。 (出典: 久留里 線 路線 図(Yahoo!ニュース))